豊胸について

 

美容外科の中で最も要望の多い手術の1つです。

 

多くは小さな乳房を大きくし張りをもたせる手術です。

子供を出産した後などに生ずる、乳房の量的減少を修正する為にも用いられます。

 

これら乳房増大手術は、要求されている量がかなり巨大なこともあり、他の身体組織を利用して十分な増大が現実的に図れない事もあり、シリコン製のバッグに入った乳房のプロテーゼを利用する機会が多くなります。

 

みなさまもご存じのように、この点についてはここ10年来アメリカFDAが問題視してきているテーマではありますが、少なくともFDAも生理食塩水入りのシリコンバッグを乳房増大術に使用することは認めました。一方世界各国ではその後も、数多くのシリコンプロテーゼの理入手術が乳房増大目的に用いられ、その長期予後に関する安全性も検討され、その多くはこの方法の安全性を証明するものになっています。

 

ただし、あくまでもシリコンバッグプロテーゼは”異物”ですから、よく医師の説明を聞いて納得した上でこの手術は受けて下さい。

 

プロテーゼも挿入経路は、脇の下、乳房下線、乳輪の周囲の切開から行われます。

これらの切開から乳腺の直下、あるいは大胸筋の下に作られたポケットの中に、プロテーゼは挿入されます。挿入経路によって選択される麻酔は事なりますが、局所麻酔のみというのは少し辛いかと思います。

 

 

シリコンバッグの挿入場所

 

シリコンバッグの挿入場所ですが

乳腺があれば、乳腺下。

乳腺がなければ、大胸筋下。

 

最近は「大胸筋膜下層法」という方法を考案したと推奨する医師も多いようですが、そもそも大胸筋膜下というのはペラペラアなものなので、そこに入れたからといって、さほど意味がありません。

 

 

<乳腺下法>

 

【メリット】

出産後の方や、ある程度乳腺や脂肪がある人に適しています。

バッグの動きが柔らかさの特徴を良く出すことができます。

【デメリット】

豊胸手術後、被膜拘縮を起こした時変形が表面上に出やすい。

<大胸筋下法>

 

【メリット】

乳腺や皮下脂肪が少なく皮膚が薄い方でもバッグの輪郭が出にくい方法です。バストトップの位置が前に出るので、ボリューム感を出すことが可能。

【デメリット】

豊胸手術後の痛みが乳腺下より強くなります。

術後、筋肉で抑えられている為バッグの動きが鈍くなります。

筋肉を触ることになるので乳腺下よりも硬くなります。

<大胸筋膜下層法>

 

【メリット】

筋肉を傷つけないので痛みが少ない。通常の方よりも回復が早くなります。バッグの輪郭が浮き出る事を防ぎ、自然なバスト・豊胸を実現します。筋肉収縮による形態変形が少ないので、バストの歪みを回避することが出来ます。

【デメリット】

極端に痩せている方は、バッグの輪郭が浮き出ることがあります。

 

 

 

 

バッグの挿入経路(切開部分)

 

バッグの挿入経路(切開部分)は

・脇の下

・乳房の下(アンダーバスト)

・乳輪周囲

がありますが、安全性を考えても胸下をお勧めします。

 

脇の下からアプローチする場合

・無駄な剥離が多い

・スペースを作ることにより上方変異(上に移動してしまう可能性がある)

・胸下で血が出た場合、止血が不可能。

という問題がある上、脇の下の場合は一般人にも見られてしまう可能性があります。

夏場水着にならなくとも、ノースリーブで電車に乗り吊革に捕まった時に、一般人の方に見られる可能性があります。

乳房の下の場合は、パートナーにしか分かりません。パートナーには必ずバレてしまいます。触れば分かりますし、それは仕方のないことです。

ただし、パートナー以外の人にはあまりバレたくないものだと思いますので。

 

よく「脇の下は目立たなく、乳房の下の方が目立つ」という医師がいますが、それは真っ赤な嘘です。アメリカ人と違い日本人は胸が小さい為、胸の下からアプローチすると真正面から見た時に、傷が胸に隠れずにバレてしまうとお考えのようですが、きちんとした形成外科医の下行えば、傷跡は全く目立ちません。

またブラジャーのラインなので、水着を着ても手を挙げても傷跡は一般人には分かりません。

 

 

日本人に向いているシリコンバッグ(メーカー)

 

豊胸手術はアメリカが最も歴史が長く、アメリカでは最もポピュラーな美容整形手術です。

 

豊胸手術に用いられるシリコンバックには200を超える種類があります。

その中で何を選んだら良いのか、豊胸バッグは日本で認可が下りているもの(製品)がない為、どこかで何かを頼りにしなければいけません。

だからといって、中国の厚生労働省が認可しているから安心だとは思わないので、FDAを頼ろうと思います。(名医の意見)

 

※FDA=アメリカの厚生労働省の認可が通っているもの。

 

FDAの認可が通っているものは、メンターという会社と、マックガーンという2つがあります。逆を言えば、これしかFDAの認可が通っていません。

Cマークのユーロシリコンは、FDAの認可が通っていません。

 

※Cマーク=フランス/ヨーロッパ企画(FDAより基準が甘い)

 

日本でも今後認可が下りる可能性のあるのは(少なくとも乳がん用には確実に下りる)アラガン社のメンターという製品です。 

私が知っている名医は、メンターの方が使いやすいと言います。 

 

<メンター種類>

・コヒーシブI … ソフトシェルジェル(1番やわらかいジェル)※ラウンドタイプ

・コヒーシブⅡ … スライトニングファーマ(ちょと固いジェル)※ラウンドタイプ×

・コヒーシブⅢ … 1番固いジェル ※アナトミカル

 

同じ200ccを入れるにしても、

底面積が広くて高さが高いもの、底面積が中くらいで高さも中くらい、底面積が小さくて高さが高いもの、同じ200ccでも3種類があります。

中でも日本人に向いているバッグは次の通りです。

 

メンター:コヒーシブⅠ:モデレートプラス(高さ中くらい)

 

 

バッグの形状・質感

 

バッグの形状は主に、ラウンド型とアナトミカル型です。

 

アナトミカルなら、やわらかい方が良いです。

ラウンドなら、多少固くても形がいい方が良いです。

 

質感においては、スムースタイプとテクスチャードタイプがありますが

テクスチャードタイプ(ざらざら)の方が比較的ずれにくいので良いです。

 

 

<ラウンド型>

【利点】

方向性がないので、万が一回転しても困らない。

【欠点】

皮膚の薄い人の場合ラウンドは向いていない。

皮膚の厚みがあり、多少乳腺がある人の場合、ラウンドで問題ない。

 

<アナトミカル型>

【利点】

涙型なので形が綺麗に仕上がる。

【欠点】

方向性がありるので手術が難しい。また、万が一回転してしまった場合は危険。

 

 

日本人に勧めるカップの大きさ(cc)

 

日本人に勧めるのは200~250cc

メーカーにもよりますが、

「メンター:コヒーシブⅠ:モデレートプラス(モデルプラス)」

ラウンド型の場合は、25cc刻みです。

 

200cc

225cc

250cc

275cc

300cc

 

どうせ入れるなら大きい方が良いと思われる方が多いようですが、入れた後大きいと感じた場合、小さくする方が難しいです。なぜならスペースが出来てしまうから。

逆に控えめに入れた後物足りないと、大きくする方が簡単です。

 

 

豊胸手術における全身麻酔と局所麻酔

 

クリニックによっては、豊胸手術を局所麻酔で行うところがあります。

 

手術直後、患者さんを起こして大きさを確認させる(できる)ことを、メリットだという医師がいますが、逆にこれは患者さんにはデメリットだと思います。

そんな精神状態で、患者さんが判断出来るものではないと、某名医は言います。

私もそう思います。

 

全身麻酔は高額になりがちで、麻酔科医の腕にも左右されますが、やはり1番安全なのは全身麻酔の下行うことでしょう。

 

局所麻酔には、静脈麻酔を併用したりする場合があります。

「硬膜麻酔」の場合、上にきかせなければいけないので、呼吸の障害が出る可能性がある為、呼吸管理が難しいです。

 

余談ですが… 

「硬膜麻酔」で豊胸手術を行えば、息が止まります。

(この麻酔は主に下半身:足脂肪吸引などに用います)

硬膜外の方が外(硬膜麻酔)それを通りこすと硬膜下(硬膜麻酔)になります。

硬膜下を専門用語で「ルンバール」と言いますが、新米麻酔科医が硬膜麻酔に失敗し、硬膜に打ってしまうことを「それルンバっちゃったね」と医師の中では言われています(苦笑)

 

 

話しを戻します。

最後に「ケラーファンネル」という器具ですが、これは傷口を保護する為のものだと(袋状の形)推奨するクリニックがあります。(+5万円くらいの費用)

だけれども、返ってこの器具がこすれて、傷がきたなくなってしまうことがあります。

名医ならこんな器具を使わずとも、傷口を綺麗に出来ますので、こちらを推奨するクリニックの腕は、その程度だと思われる方が良いでしょう。