糸によるリフト

 

「フェイスリフト」ページでは、SMAS法を取り上げましたが

ここでは糸によるリフトをご紹介します。

 

糸によるリフトも、種類がさまざまあります。

クリニックによっては独自の名称で呼んでいる場合もありますので、それがどの部類の糸なのか判別が必要です。(例:プリンセスリフトなど)

 

まず、糸は大きく分けて「溶ける糸」「溶けない糸」があります。

「溶ける糸」はその名の通り、体内に吸収され、数年後には消えてなくなってしまいます。

よって、効果は数年(へたしたら数カ月)しか持ちません。

「溶けない糸」は、溶けないで体内に残ります。レントゲン撮影にはほとんど映りませんが、金の糸はレントゲンに映ります。

 

<金の糸レントゲン画像>

 

この除去はほぼ不可能です。現在の美容外科医が頭を抱えている問題でもあります。

何本も何本も入れ過ぎて(100本を越えている人もいます)頭の中に網目状に張り巡らされている人がいるからです。

 

余談になりますが、美容整形業界、新商品が出た時時点では、将来それがどういう結果を辿るのか誰にも分からないのです。

メーカー側は、「○○を改善した商品」だと売りに走りますが、メーカー側がうたっている「保証期間」(効果期間)とされているものは、実に曖昧なものであり、不確かなものです。

新商品には飛びつく人も多いですが、歴史の浅い商品ほど、信用できないものはありません。

 

金の糸もまたその例です。

また糸によるリフトというのは、フェイスリフト(SAMS法)で引きあがらない部分(中顔面や鼻唇溝部分)の引き上げが可能となった、美容外科業界では待ちわびた商品でした。

 

 

(図)各部位の名称

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギザギザのコグ(突起)が糸についています。このコグが弛み(組織)を引き上げてくれるのです。溶ける糸の場合、そのコグが次第に溶けてなくなってしまいます。要は、引き上げる効果も時間とともに無くなってしまうということです。

 

 

<溶ける糸>

【メリット】

いずれなくなってしまう為、体内に異物として残ることはありません。極端な話生涯何度でも入れることが出来ます。

【デメリット】

溶けてなくなってしまう為、引き上げ効果が弱いです。また、持続期間が~1年と短いです。(安いところで受けると、その効果は1ヵ月ともちません)

 

<溶けない糸>

【メリット】

最大のメリットは、より引き上げ効果があるということ。持続期間も~3年と長いです。

また、再度引き上げが可能なので(再引き上げの料金は格安なところが多い)何本も入れなおすことはありません。

【デメリット】

溶けてなくなってしまうことはありませんが、異物として体内に残ります。将来取り出したいと思っても、4方向にコグがついている為、そのコグが引っ掛かり取ることは非常に困難です。

また、糸を入れた後、頬の脂肪吸引をする時は、リフトの効果がなくなってしまいます。

なぜなら、カニューレが糸を切ってしまうからです。もし、顔の脂肪吸引をしたいのであれば、糸を入れる前にすることをお勧めします。

(糸を入れた後、どうしても脂肪が気になるのであれば、脂肪溶解注射をお勧めします)

 

<解説図>

 

 

さらに術後3週間程すると、真皮層に細かいコラーゲントンネルが形成されます。糸の周囲を強固に支えるので若返り効果が持続します。

 

現時点では糸によるリフトは「溶けない糸」スプリングスレッドが1番引きあがるとされています。ただし、美容外科の技術は日々進化していますので、今はこれが最高の選択でも、5年後10年後どうなるかは分かりません。